どうも、みなさん!やまちゃんちのパパこと、もってぃです。
マスコミってめちゃくちゃ業界用語あるイメージだよね
実際、業界用語は非常に多いです。
「(新聞紙面の)アタマ」など、業界人でなくても聞いたことがあるようなものから、
「地取り」「込み(コミ)」など、ちょっと聞いただけではわからないような用語まで幅広い用語があります。
今回は、私の新聞記者人生7年間のうち、
現場で使われることの多い業界用語をランキング形式でご紹介します。
なお、順位は使用頻度やおもしろさをもとに、独断と偏見でつけています。ご了承ください。
マスコミの中にも幅広い業種があるのですが、今回は主に新聞社やテレビ局の報道現場で使われている業界用語になります。
マスコミの業界用語に興味がある人
業界人ぶってみたい人
マスコミ業界への就職・転職を考えている人
実践的に理解してもらえるよう、普段、報道現場でどんな風に使われているかの例文も作りました。
では、いきましょう。
事件や事故の現場周辺を歩き回って話を聞く取材手法のことです。
刑事ドラマなんかでよく言われている「聞き込み」の取材バージョンと思ってもらって大丈夫です。
主に事件取材を担当している記者がよく使う用語です。
事件の取材はこの「地取り」「込み」など体力や精神力を使うことが多いので、
元気のいい若手記者が担当していることが多いです。
よくマスコミは、特殊な情報網を持っていて、特殊な方法で事件現場や関係者を探し出していると思われていますが、
まったくの誤解です。
基本的には、事故があった所をなんとか調べて、
その周辺に住んでいる人や地理に詳しい人をたどりにたどって情報をつかんでいます。
テレビだと「●●容疑者をよく知る人は・・・」と言った映像が流れることがありますが、
この地取りや込みの結果としてのニュース映像です。
次に事件のニュースを見るときは、そんな記者の苦労も想像してみてください。
事件の容疑者や被害者の関係者を探し、取材することです。
10位の「地取り」とちょっと重なる言葉ですね。
地取り・込みを積み重ねて、最終的に容疑者や被害者の関係者を探し出せたときに使う言葉ですね。
「地取り」も「鑑取り」も、元々は警察の業界用語だそうです。
実際、古いタイプの警察官とお話すると、バリバリこれらの言葉を使っています。
事件の担当をしていると、警察官と話す機会が多くなるため、
自然と記者たちも警察用語を使った会話をするようになるわけですね。
ちなみに、私は最初この単語を「おりとり」と読んで笑われました。
「おり」と読む漢字は「檻」ですね。
新人記者をちょっとバカにして呼ぶ時の呼称です。言い換えるなら、「半人前」です。
由来はこうです。
「記者」→「きしゃ」→「汽車」
仕事を覚えていない記者は、まだまだ「汽車」とは言えない。
汽車なんかじゃなくて、「トロッコ」だ。
完全にダジャレです。
でも、こういうこと考える人、すごいですよね。
言葉遊びとしておもしろいのでランキングに入りましたが、
今ではなかなか使う人が減ってきた印象の言葉です。頻度の点で、ランクをやや落としました。
これ単独で使う言葉ではなく、「身柄空いてる」「身柄とられてる」という風に使います。
言い換えるなら、「スケジュール」のことです。
スケジュールが空いていることを「身柄空いてる」、
予定が入っていることを「身柄とられてる」と表現します。
これも、元々は警察の業界用語です。
いつのまにか報道現場でも使われるようになったパターンの用語ですね。
普通の会社でこの用語を使ってやりとりをしていたら、目立つこと間違いなしのおすすめ用語です。
事件や事故、火事の発生に気づいた記者が社内の関係者に一報を入れることです。
正確な報道のためには、事件や事故が発生した時にいかに早く現場に行くかが重要になります。
そのため、まだ事件や事故だと確定していない「もしかしたら」という段階でも現場に記者を派遣することがあります。
その時に重要なのが、「さわぐ」ことです。
「もしかしたら」に気づいた記者が、上司や先輩記者、事件担当の記者を次々呼び出して、万が一に備える。
重大事件ならそのまま取材しますし、何事もなければ「何もなかったね、よかったね」と笑い話で終わります。
若手記者の頃は、どんな時にさわげばいいのかが良くわからないので、しょっちゅうさわぐことになります。
当然、何事もなく終わることも多いので、あまりにさわぎすぎて怒られることになります。
報道各社に対する発表資料のことです。
国の各省庁、都道府県庁、主要な役所にはほとんどの場合、「記者クラブ」と呼ばれる報道各社が使っている部屋があります。
この記者クラブは日本特有の文化らしく、場所によっては庁舎ができた当時からあるような古い部屋もあるそうです。
クラブの部屋には、各社が使う戸棚があります。
省庁や都道府県庁の人たちは、何かマスコミに向けて発表したいことがあれば、そこに発表内容を書いた紙をポンポン投げ入れていきます。
このため、発表文のことを「投げ込み」と呼ぶ習慣があります。
今では企業を中心に「プレスリリース」「ニュースリリース」といったおしゃれな言葉が使われたり、
データでやりとりをしたりする場面も増えています。
ですが、報道関係者の多くは今でも各所からの発表資料のことを「投げ込み」と呼んでいます。
もしあなたが企業の広報担当をしているなら、記者と話すときに「投げ込み」という言葉を使うと親近感を持ってもらえるかもしれません。
現場に出るような若手記者のことを「兵隊」「働きアリ」と呼びます。
報道現場では、大きな事件や事故になるほど大人数で取材にあたります。
各現場に派遣された記者はその現場のことはわかりますが、他の現場についてはまったくわからないわけです。
このため、現場には出ずに全体を総括するような役目の記者がいます。こういった記者は「キャップ」と呼ばれます。
キャップは、全体からの報告を受けつつ、各現場の記者に「次はどういう取材をするのか」といった指示を出すわけです。現場の記者は、この指示を受けて取材にあたります。
指揮系統をしっかり守っているのが、まるで軍隊のようですよね。
このため、現場にいる記者のことを「兵隊」や「働きアリ」と呼ぶわけです。
ちなみに、キャップの上にも「デスク」と呼ばれる人がいます。
この人は、一般企業でいう「次長」にあたるポジションの人で、記者が書く原稿をチェックし、編集し、掲載・放送に向けたGOサインを出す役目の人です。
現場に出ず、いつも机で仕事をするので「デスク」と呼ばれます。
一見ささいに見えた事件や事故が、大事件や大事故に発展することを「はじける」と言います。
例えば、2018年にあった日大ラグビー問題などは「はじけた」と言える案件です。
最初は、「定期戦の中で悪質なタックルをした選手がいた」という、あってはなりませんがスポーツシーンではたびたびあることが事の始まりでした。
ですが、時が経つにつれて、このタックルが監督の指示であったことがわかったり、記者会見で担当者が非常によろしくない対応をしたりと、火に油を注ぐような事実が次々と出てきました。
最終的には監督の辞任、日大学長の謝罪会見まで発展し、連日ワイドショーでも取り上げられていましたよね。
このような案件がいわゆる「はじけた」ものです。
全国的に取り上げられる大きなニュースから、地方でしか知られていないニュースまで、
日々「はじけている」事件や事故はたくさんありますので、使用頻度がかなり高い用語になります。
アヒルの卵から作る中華料理のことです。
嘘です。ごめんなさい。
検察担当の記者のことを、P担といいます。
検察というのは、警察が捕まえた犯人について、さらに捜査をして、
裁判所で裁判を開くかどうか、いわゆる「起訴」か「不起訴」かを決める役割の人たちです。
弁護士や裁判官と同じく、司法試験の合格者だけがなれるお仕事ですね。
検察は英語で「prosection」と言います。
その頭文字をとって、「P担当」。略して「P担」になるわけですね。
他の用語に比べると、日常会話の中に出てくる頻度は少ないですが、
そのかわいらしい響きと裏腹に、しっかりとした意味を持つというギャップ性で2位にランクインしました。
栄えある第1位は、「ヤサ」です。
自宅・家のことです。
これも、元々は警察用語ですね。報道現場の用語は、本当に警察用語の流用が多いですね。
仕事上では、「ヤサを割る」という使い方をすることがほとんどです。
これは、「自宅を特定する」ということですね。
記者にとって、「ヤサを割る」のも重要な仕事です。
企業や行政の偉い人のヤサを割っておけば、365日、いつ何があっても、最悪ヤサに突撃すれば話を聞くことができるわけです。
このため、報道各社の特ダネ競争が激しい地域の記者はヤサ割りを必死でするわけです。
仕事に慣れてくると、仕事以外の場面でも使う言葉になります。
普通なら「帰宅します」のところ、「ヤサ直帰します」なんて言うようになります。
言葉の響き、カッコよさ、使用頻度、どれをとっても高水準だったので、堂々の1位となりました。
いかがだったでしょうか。
最後に、今回出てきた用語を振り返りましょう。
- 地取り、込み
- 鑑取り
- トロッコ
- 身柄
- さわぐ
- 投げ込み
- 兵隊・働きアリ
- はじける
- P担
- ヤサ
それぞれの意味、覚えられましたか?
自分が知らない業界の用語って、なんとなく眺めるだけでも「へぇ」と思うものがあって面白いですよね。
私も仕事柄、色々な業界の方と話すとき、そういうことを強く感じます。
そこで、みなさんにも報道現場で使われている業界用語を知ってもらえればと思って、今回の記事を書きました。
「P担」と「トロッコ」以外では、令和の世になっても使っている記者は結構います。
もしあなたが記者と接する機会があるのなら、ぜひ話題の種にしてみてください。
それでは、今回の記事はこの辺で。
ありがとうございました!!!