どうも、みなさん!!やまちゃんちのパパこと、もってぃです。
新聞記者って何してるのか、いまいち知らないよね
何を隠そう、私は新聞記者です
官公庁や企業の広報部門で働いている人は、「記者」という存在に接したことがあるかもしれません。
でも、普通に生きていたらなかなか会うこともない、結構レアな存在ですよね。
2019年には映画「新聞記者」が公開されたり、
NHKの連続テレビ小説「いだてん」でもちょこちょこ新聞社内が描かれたりと、
画面の向こうの世界で見たことはあるかもしれません。
デジタル化の波に押され、業界としては存続の危機を迎えていますが、
「ジャーナリズム」を志した新卒の学生や、中途転職者の入社が後を絶たない変わった業界でもあります。
そこで今回は、新聞記者として働いたり、興味があったりする人に向け、
現役記者である私が新聞記者の仕事を徹底的に解説します。
新聞社への就活・転職を考えている人
普段仕事で記者に接する人
新聞記者の生態に興味がある人
ではいきましょう。
ネット界隈では「マスゴミ」の一角として扱われ、
若年層の活字離れも進んできたために、新聞記者の存在感はどんどん薄れていっています。
ネットニュースがあれば、新聞とかテレビのマスゴミなんていらないよ
と言ってくる人も実際にいます。
ですが、この意見は根本的に勘違いをしています。
yahooやGoogleが配信しているニュースは、ほとんどが「マスゴミ」による発信です。
もし、「マスゴミ」がなくなったら。
世の中の話を全く知らずに生きていくのならそれもそれでいいのですが、
国や他国、自治体や企業が何をしているのか、情報を欲しい人が自分で情報を集め、
どの情報が正しいかを自分で判断する必要があります。
これだけの労力をかけて情報を集める人なんて、そうそういません。
この記事を読んでくださっている方の内、
自治体に情報公開請求をして、自治体の事業内容について深堀りしたことがある人はどのくらいいるでしょうか。
いわゆる「マスゴミ」は、そんな面倒くさいこともやっているわけです。
マスゴミはマスゴミなりに、やるべきことをやっています。
便利な商品やグッズ、サービスの話はネット上で簡単に集められるようになりましたが、
簡単に集められないような情報はいくらでもあります。
今後、新聞やテレビがなくなる可能性は十分あります。
ですが、簡単に集められないような情報を扱う記者という仕事自体はなくならないだろうと私は思っています。
もし、記者を志してこの記事を読んでいる方がいるなら、
そういう希望を胸に頑張ってください。
では、新聞記者は普段どんな仕事をしているのかご紹介します。
と言っても、新聞記者がしている仕事はとてもシンプルです。
基本的には、次の4つのことを毎日繰り返しています。
- ネタ探し
- 取材する
- 写真を撮る
- 記事を書く
以上です。
新聞記者は半分専門職のようなもので、
総務や人事、経理のような仕事からは切り離されています。
もちろん、異動があった場合はそういった仕事に就くこともありますが、
多くの新聞記者は、新聞記者として会社員のキャリアをスタートし、新聞記者としてキャリアを終えます。
では、新聞記者のそれぞれの仕事がどのようなものなのかをもう少し詳しくご紹介します。
新聞記事にできそうな話題を「ネタ」と言います。
企業や自治体が「こんなサービスをしています」と新聞社に売り込んできて、それを取材するようなことも多いですが、
自分でネタを探すことも必要です。
ネタ探しにも、色々な手法があります。
- ネットで地域の話題を調べる
- 図書館や公民館へ行って、イベント情報などを確認する
- 人に会って、面白い話を紹介してもらう
非常に地味な作業です。
私はじっと机に座っているのが精神的にも筋肉的にも嫌いなので、
基本的には外へ出て人から話を聞いています。
面白そうなネタを仕入れたら、
実際に取材へ行きます。
イベントなら現地に行って、参加した人に感想を聞いたり、
「面白い活動をしている人がいる」というネタなら、実際にその人へ会いに行きます。
ちなみに、コロナが流行してからは、直接会うのではなく、
オンライン上で話を聞く機会も増えました。時代ですね。
意外かもしれませんが、新聞は多くの場合、
新聞記者が自分で写真を撮っています。
会社専属のカメラマンの方もたくさんいますが、
基本的には大事故や事件、プロ野球や甲子園のようなスポーツイベントで協力してもらうことになります。
ですから、普段は記者が自分でカメラを持ち歩き、写真も撮っています。
私の愛用機はこちらです。
「一眼レフ」ってやつですね。
近くから遠くまで撮れるレンズなので、これ一本で大体の撮影ができます。
取材した内容と、撮影した写真をもとに記事を書いていきます。
といっても、デジタル化が進んでいるので、
記者がやることは
- 写真のデータを社内のシステムに送る
- 原稿作成用のシステムで、文章を書く
という2点だけです。
記事を書いたら、原稿を整える役職の「デスク」と呼ばれる上司(一般企業でいう次長に相当)に見てもらいます。
そこでOKをもらえたら、記者の仕事はひと段落です。
あとは、「編集者」と呼ばれる担当者が、皆さんの手に届く新聞の形に整えてくれます。
最後に、自分の原稿が記事になった後に間違いがないか点検し、記者の一連の仕事は終わりです。
新聞記者といえば、激務のイメージがあると思います。
実際のところ、定時や勤務時間はどうなっているのでしょうか。
それを説明する前に、まずはとある新聞記者の2日分のタイムスケジュールを見てもらいましょう。
その上で、一般的なお話をします。
私とは限りませんよ!!
05:00 起床。直後に朝食。プロテインを飲む。
06:30 ジムで筋トレ
08:00 取材先へ
11:00 午前の仕事の整理
12:00 昼食。プロテインを飲む。
12:30 次の取材先へ移動開始
13:30 取材開始
16:00 取材終了。会社へ移動。プロテインを飲む。
17:00 夜勤開始。合間に原稿執筆。
19:00 火事発生の報を受けて、現場へ
21:00 けが人がいなかったことがわかったので、会社へ戻る。
22:00 点検作業がひと段落。夕食。プロテインを飲む。
23:30 夜勤の業務はほぼ終了。事件事故の発生に備え、昼間の取材を原稿にしながらして待機。
01:00 何事もなく、待機時間終了。仮眠準備。プロテインを飲む。
01:10 ちょっと物足りなかったので、寝る前に自重スクワット
01:30 入眠
06:00 起床、朝の新聞・テレビニュースのチェックや、メールチェック。プロテインを飲む。
07:00 事件発生の報が入る、現場へ。
07:30 誤報だったことが判明。ふざけるな。
08:00 帰社。夜勤の引継ぎを作成。
09:00 夜勤から解放。と思いきやまた火事が発生。
09:30 ちょっとやばそうな火事。現場での待機を命じられる。
22:30 火事の取材から解放。帰宅へ。
23:00 前日の夜から食事をとれていないことに気づき、軽食をとる。プロテインを飲む。
23:30 泥のように入眠
こんな感じです。
気づきましたか。
一日じゃないですね。
でも、こういうスケジュールで仕事をすることがまあまああります。
あまり治安の良くない町で勤務していると、結構な頻度でこういうことがあります。
さすがに毎日こんなスケジュールだと体がもたないのですが、
新聞記者である以上、事件事故があったら現場へ駆けつけて取材します。
それが一日に何回も重なると、このように、かなり過酷な日々を過ごすことになるわけですね。
では、別の一日のタイムスケジュールを見てみましょう。
私とは限らないよ!!!
05:00 起床。直後に朝食。プロテインを飲む。
06:30 ジムへ行く。
08:00 疲れたので、いったん帰る。
08:30 体を鍛えても睡魔に勝てない。
12:00 起床。昼食。プロテインを飲む。
13:00 何となく気分が乗らず、もう一回ジムへ行く。2時間走る。
14:00 走っている途中に会社から電話。「どこにいる?」と聞かれ、うっかり「ジムです」と言いそうになる。
15:00 トレーニング終了。プロテインを飲む。
16:00 満足して帰宅。娘と遊ぶ。
18:00 夕食。プロテインを飲む。
19:00 石井直方先生の本を読み漁る。
21:00 プロテインを飲む。入眠。
みなさん、誤解のないよう、きちんとお伝えしておきます。
勤務日です。
休みじゃありません。
どういうことなのか、きちんとご説明します。
新聞記者の勤務時間や定時についてご説明します。
会社によって風土が異なることもありますが、基本的に定時は存在しません。
夜勤や早く出社する役割もあるため、業務はシフト制です。
シフト制なので曜日は固定ではありませんが、週休2日はとれるようになっています。
人に話を聞き、写真を撮り、記事を書くのが仕事なわけですから、
会社に行かずに仕事が終わる日だってあります。
取材がたくさんあれば朝早くから夜遅くまで仕事していますし、
何もなければこっそりサボることあります。
新聞記者は、会社員ではあるのですが、働き方にかなり自由度があるわけですね。
とは言っても、やはり残業は比較的多い職業です。
私の場合、割と暇な月でも60時間ほどの残業が発生します。
逆に、これまでで最も忙しかった月は、「休み半日、残業250時間」という月がありました。
地獄でした。
そんな働き方はさすがに続けられないので、みんなどこかのタイミングでうまく仕事をさぼっているわけですね。
もちろん、新聞記事という目に見える仕事の成果物があるので、
サボりまくっている記者はすぐにバレます。
みんな、うまいことやっているわけですね。
何度も繰り返していますが、
人に会って話を聞き、写真を撮り、記事を書く。
これが記者の仕事の基本です。
でも、それ以外に記者が避けて通れない仕事があります。
「夜討ち朝駆け(ようち・あさがけ)」と呼ばれる仕事です。
官公庁や有名企業の幹部の自宅周りで張り込んで、
出勤時や帰宅時に突撃取材をすることですね。
結局はそこで聞いた話を記事にするので、これも一種の取材活動なのですが、
ネタを探して、取材の約束をして――といった通常の取材の流れとはかなり異なります。
この夜討ち朝駆けですが、非常につらいです。
出勤時を狙おうと思えば、午前4時ごろから家の前で待機し、家から出てくるのを待ちます。
帰宅時を狙おうと思えば、午後5時ごろから家の前で待ち、帰ってきたところを捕まえます。
取材相手が何軒もはしご酒をして帰ってきたときなんて最悪です。
午前2、3時までずっと待機していることだってあります。
なぜ、こんなことをするのか。
表では聞けない話を聞くためです。
官公庁や企業の不祥事は、まず真正面から取材をしてもまともな答えは返ってきません。
ですが、「ジャーナリズム」を掲げる以上、「はい、そうですか」と引き下がるわけにもいきません。
あらゆる取材を試みるわけですが、その手段の一つが夜討ち朝駆けなわけです。
この夜討ち朝駆け、記者をやっていれば一度は経験するんですが、
一部の変人を除いて大体みんな嫌がる仕事です。
そりゃそうです。
取材を受ける側も迷惑そうにしますし、こちらとしても単純に体力的にきついですから。
それに、行けば必ず実りがある仕事でもありません。
嫌がられても、何度も繰り返し家へ行き、気づいたら仲良くなっている――。
それくらい狂人な強靭なメンタルがないと、やっていられない仕事の一つです。
ちなみに、私は大っ嫌いです。ジム行けなくなるから。
これまで、新聞記者全般の話をしてきました。
ですが、一口に「新聞記者」と言っても、それぞれ得意分野や担当している分野があります。
ほとんどの新聞社では、担当する分野ごとに部署が分かれています。
実際にどんな部署があり、何を取材しているのかをご紹介します。
名前の通り、政治について取材します。
取材対象は、主に国会議員です。
テレビで、国会議員を取り囲むようにしてボイスレコーダーやマイクを向けている記者たちの姿を見たことがあるかもしれません。
時折別の部署の記者がいたりしますが、大概はあれが政治部の記者です。
自民、立憲民主、維新といった政党ごとに1記者、大物政治家だと一人につき1記者の担当がついていることが多いです。
部署の方向性として、政治家とうまく付き合って裏の話を聞こうとするので、
次項で説明する社会部とは仲が悪いことがままあります。
社会全般の出来事を取材する部署です。
新聞で言うと、だいたいどこの新聞もテレビ欄を一枚めくると「社会面」と呼ばれるページがあります。
社会面は、その時折話題になっていることが取り上げられます。
社会部の仕事は、特定の分野を取材するというよりも、
その時社会で話題になっていることや、大きな事件事故を取材することが仕事になります。
官公庁や企業、政治の不祥事、事件や事故を扱うのもこの部署がメインです。
いわゆる新聞記者のイメージに最も近いことをしている部署かもしれません。
不祥事をバンバン書くこともあるので、政治家や企業を担当している部署とは仲が悪くなりがちです。
ちなみに、こんな漫画があります。
普通に面白い漫画なので、興味があれば読んでみてください。
古き良き時代の新聞記者が描かれています。
企業の取材をメインに担当する部署です。
商品やサービスの新発売、株価といった話題を扱うことが多いです。
「ゲーム」「電力」「製造」という風に、業界ごとに担当の記者をつけることが多いです。
書評や、生活、文化に関するテーマをメインに取材します。
テレビ番組の紹介や、芸能人へのインタビュー記事などを取材することもあります。
科学的な話を扱う部署です。
わかりやすいところで言えば、「原子力」「生物学」「物理学」「天文学」といったような、
各種学問に精通した記者が多くいます。
日本人がノーベル賞を受賞した際に、詳細な研究内容を紹介している記事なんかは、この部署の記者が書いていることがほとんです。
スポーツをメインに取材する部署です。
プロ野球やサッカー、高校スポーツの大会などの取材をしています。
記者自身も運動部で運動していた人が多く、スポーツ部で草野球チームを作っているなんて話を聞くこともあります。
読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、日本経済新聞の5紙は全国に拠点を持つため、「全国紙」と呼ばれます。
これらの全国紙は、東京や大阪といった都市圏以外にも、日本各地に支社・支局があります。
当然、そこで働く記者もいます。
というか、合計はすれば地方で働いている記者の方が多くなるはずです。
地方で働いているときは、部署のように厳密に所属が分かれているわけではなく、
担当が記者に割り振られます。
事件・裁判は●●記者、経済関係は▲▲記者、文化関係は■■記者――といった形ですね。
最後は、校閲記者です。
これはかなり特殊な記者たちで、新聞記事に間違いを探す「校閲」という作業を専門にしている記者たちです。
ですから、記者と言っても自分で取材し、記事を書くことはほとんどありません。
外へ出ている記者たちが書いた記事を、専門誌やインターネット、書籍などの情報をフル活用して、
事実関係の間違いや誤字脱字、表現の間違いがないかを見てくれます。
特に新聞は、一度新聞紙として世の中に出回ってしまうと、載っていた情報が間違っていたときの修正が非常にききにくいです。
そのため、間違いをただす校閲記者の役割は、非常に重要なものといえます。
就活生を相手にすると、よく聞かれる質問ですね。
新聞記者って、どんな人が向いていますか?
聞かれすぎて、耳にタコができました。
おそらく、こういう答えを求められているんだろうと思います。
- 文章を書くことが得意
- 新聞・活字が好き
- 時事問題に興味がある
でも、大体、私はこう答えます。
別にどんな人でも新聞記者にはなれます
だって、文章書くのが苦手な記者もいれば、
新聞を読まない記者、時事問題にまったく興味を示さない記者だっているんですもん。
変な人がいっぱいです。
個人的には、10人新聞記者がいたら、6人くらいは変な人だと思います。
普通の会社員として働こうと思うと、個性が邪魔になることもあると思います。
ですが、新聞記者として働くと個性が武器になるんですね。
だから、どんな人だって新聞記者になれると信じています。
ただ、しいて言えば、最低限の条件はあると思います。
それは、人と接することが好きということです。
どんな分野の取材だろうが、基本的に取材対象は人です。
人と接するのが嫌いだと、そもそも取材になりません。
そういう意味では、「人と会って、話すことが好き」ということが、新聞記者として最低限必要な要素といえます。
いかがだったでしょうか。
一口に「新聞記者」と言っても、担当している分野や記者個人で働き方がだいぶ異なるので、
この記事のすべてが100%正しいとは言えません。
ですが、大枠のイメージをつかんでいただくには、この記事で十分な内容となっています。
よく新聞記者というと、会社ごとのイメージや「マスゴミ」とひとくくりにされて語られがちですが、
当然、働いている記者は一人ひとりが全く異なる考えを持っている個人です。
それぞれが自分の仕事にプライドを持ち、一生懸命働いていることは間違いありません。
もし、この記事を最後まで読んでくださった方は、
今度からニュースの裏側で働いている記者たちのことも考えてみてください。
いつもとは、ちょっと違ったニュースの楽しみ方ができるかもしれません。
記事の中でもご紹介した、「夜討ち朝駆け」に私が行った時の話です。
当時はまだ夜の涼しさが残る4月上旬。
官公庁の幹部に話を聞くため、「夜討ち」に言っていました。
相手は幹部ですから、私はネクタイをぴちっと締めています。
もちろん、スーツも着ています。頭のいい人にしか見えないスーツです。
午後6時ごろから幹部宅のそばの電柱にもたれかかって、幹部の帰りを待っていました。
もうね、全然帰ってこないの。幹部。
気づいたら午後11時くらいになってるし、なんだかんだ春の夜だから冷え込むし、
「そろそろ帰ろうかなー」って思ってたら声を掛けられました。
君。何してるの?
職務質問です。
そりゃそうですよ。
近隣住民からすれば、スーツを着込んだガタイのいい坊主が夕方から夜中まで電柱にもたれてたら、
何事かと思いますよね。
むしろ、午後11時まで通報しなかった住民のメンタルがすごい。
いや、本当に怖い思いをさせて申し訳ありませんでした。
実は、夜討ちをしていると職務質問をされることは多々あります。
記者の人相にもよるんですが、結構な頻度で職質をされる人もいます。
私は、「かなりの頻度」で職質をされるタイプです。
警察官の方もわかっているもので、職業と所属をこたえると
住民のみなさんに不安を与えないよう気を付けてくださいね
と見逃してくれます。
いや、警察のみなさん、
本当にご迷惑をおかけして申し訳ありません。
でも、みなさんが見ている新聞やテレビの裏側には、
こんなアホみたいな、とんでも迷惑なエピソードが隠れていることもぜひ知ってください。
では、今回はこの辺で。
ありがとうございました!!!