どうも、みなさん。やまちゃんちのパパこと、もってぃです。
私が就活したときのエントリーシート(ES)を公開するよ
マスコミ業界を志望する就活生
ESの実践的な書き方を知りたい就活生
社会人のESを見る視点を知りたい就活生
私、7年前は大学生でした。
しかも、ほぼ新聞・放送のマスコミ業界しか受けていない変わり者です。
ですが、幸運にも早い段階で第一志望だった新聞社に内定をもらうことができました。
以降、新聞記者として働いています。
今回の記事では、現在就活をしている学生や第二新卒の皆さんに向け、
マスコミ業界に内定を得た私のESをご紹介します。
7年も経過しているとは言え、
ESの本質は変わっていないと思います。
また、記者としてある程度の経験を積んだ後、
当時書いたESがどう見えているのか。
今だったらどう書くべきだと思うのかという解説も付けますので、
ESの書き方に悩んでいる方もぜひご覧ください。
プライバシー保護のため、氏名や学歴についての欄は飛ばします。ご了承ください。
また、さすがに現物をそのまま写真で載せるのは権利的な問題があるため、
文字に起こしています。
では、いきましょう。
最初に、私の就活実績をご説明しておきます。
興味がない方は次項までスクロールしてください。
まず、大前提です。
私は2015年新卒での就活生です。
当時の就活スケジュールは以下のようなものでした。
【大学3年】
12月1日 情報解禁(マイナビやリクナビのような就活情報サイトのエントリー開始)
【大学4年】
2月~3月 各企業への志願、ES提出締め切り
4月1日 面接解禁(=内定解禁)
今よりも、色々解禁が早かった頃ですね。
実際は3年生の夏ごろに企業によってはインターンを行い、
3月末ごろまでに「内々定」と呼ばれる、「実質内定」を出す企業も多くありました。
このような中で、私が就活でESを提出したのは以下のような企業です。
新聞社(全国紙) 5社(内2社ES提出せず)
新聞社(ブロック紙)2社(2社ともES提出せず)
通信社 1社
NHK
JT
リクルートキャリア(2021年4月にリクルートに吸収合併)
計 11社(ES提出は7社)
当時は20~30社、多ければ100社近くにESを出す学生もいましたから、
ESを提出した会社の数で言うと、かなり少ない部類でした。
ちなみに、JTは当時喫煙者だったから、
リクルートキャリアは名前がカッコいいから受けました。
結果は、以下の通りです。
全国紙 1社 内定
JT 内定
全国紙 2社 2次面接で辞退
通信社 1社 筆記試験を辞退
NHK 1次面接落ち
リクルートキャリア 役員面接落ち
ESを出さなかった社があるのは、ESの締め切り前に内定が出ていたからでした。
経緯はこんな感じです。
- 4月初週にJTがいきなり役員面接&全国紙の筆記試験や1次面接
- 4月初週末にJTから内定
- 4月2週目。全国紙の面接が進む。
- 4月2週目末、第一志望の全国紙から内定。
- JT、選考途中だった企業はすべて辞退。就活終了
割と恵まれている就活結果でした。
元々人と話すのが得意で、面接をスムーズに進められたというのもあるかもしれません。
ですが、それ以上に他の就活生とは違う、とがったESを書くようにしていましたので、
面接での話のきっかけを作ってもらいやすかったと思っています。
では、実際に私がどんなESを書いたかご紹介します。
今からご紹介するのは、私が内定をもらった第一志望の新聞社のESです。
特定を避けるため、一部質問や回答を変更していますが、おおむね原文ママです。
質問→私の回答→解説という順番で書いていきます。
最後に、総まとめとしてESを書くときに意識していたことをまとめます。
では、いきましょう。
居酒屋めぐり、読書、テニス、水泳
氏名、住所、電話番号と来て、その次にあったのがこの欄でした。
たった一行の欄でしたが、私のESのストロングポイントでした。
「居酒屋めぐり」の面接受けが半端じゃありませんでした。
どの社の面接でも、ほぼ必ずこの項目について「この趣味は何なの?」と聞かれました。
むしろ聞かれてなかった1社(某日本放送協会)は1次面接で落ちました。
これは嘘でもなんでもなく、当時の趣味が居酒屋めぐりでした。
当時の私は、居酒屋のカウンターに座って、「隣で飲んでいるおじさんと仲良くなるチャレンジ」なるものをしていたんですね。
仲良くなって写真を一緒に撮ったり、奢らせたら私の勝ち。
逆に、迷惑そうに退店されたり話が盛り上がらなかったりしたら私の負け、という自分ルールを使ってやっていました。
さすがに趣味欄でここまで書くことはできませんでしたが、
「この趣味はなに?」と聞かれたときに、上に書いたようなエピソードを話していました。
ESのどんなに小さい欄でも、気を抜いてはいけないという典型例だと思います。
ESは、面接官にとって話のきっかけを拾うための道具です。
たとえ一行だけの小さな欄でも、面接官が「なんだこれは?」と思うようなことが書いてあれば、
そこから話はいくらでも広がります。
逆に、小さな欄だからと言って手を抜くのはやめましょう。
全体からすれば小さなスペースですが、何千人もの学生と競うためには、そのスペースが命取りになりかねません。
大津市中二いじめ自殺事件報道で、現実に起きている出来事を伝える報道に、社会を動かす力があると感じたからだ。この事件に関心をひかれたのは、中学校二年生の時の経験に起因する。
●●●●年▲▲月、当時お付き合いをしていた女性が、いじめが原因で不登校になった。部活動でヘトヘトに疲れた後、彼女と一緒に帰る時間が、私は本当に好きだった。「また彼女と一緒に帰りたい。」その一心で、署名を集め、いじめ対策を求める請願書を学校に提出したが、結局私の願いは叶わなかった。
五年後の大津市中二いじめ自殺事件をめぐる報道は、いじめ対策に関する立法を促すなど、確かに社会を動かした。「記者になれば、彼女のような人を助けられるかもしれない。」私は、記者を志すようになった。
彼女のように、苦しむ人々の声を拾い上げ、伝える。それによって、多くの人々を助けられるような記者になりたい。
青臭い。
そして、文章が自分に酔っている感じがすごいですね。
絶対普段は「起因する」とか言わないのに、カッコつけた言葉を使っています。
マスコミ業界で働く人は、日ごろから「わかりやすい言葉」を意識して働いています。
多くの人にニュースを届けようと思えば、難しい漢字や表現、言葉使いをしてはいけないわけです。
ですから、
「起因する」は「経験があるからだ」、
「私の願いは叶わなかった」は「結局、彼女は学校に戻らず、一緒に帰ることはできなかった」という風に、
わかりやすい表現を使うようにします。
でも、記者になりたい理由が「カッコいいから」とか、「ニュースが好きだから」といった漠然としたものではなくて、
自分の経験に基づいているのは今読んでも納得感があります。
もちろん、人によっては
いや、学校の先生でもよくね?
と感じる人がいるかもしれません。
でも、そんな人がいても、私の過去の経験が否定できるわけではないので、圧迫面接でも突っ込まれることはありませんでした。
経験に基づいた話を書くのは、ESの鉄則だと思います。
私が記者を志望している理由を、●●新聞の記者の方々の多くに共感していただけたからだ。
インターンや社員訪問を通じて、多くの記者の方々とお話をさせていただいた。「彼女のような人々を助けたい」。私のそのような夢見がちな志望理由に、●●新聞の方々は共感してくれた。他社の方は、違った。●●新聞の方々は、社会的に弱い立場の人々のことを、重要視しているように感じた。
そのような人々となら、記者という仕事を誇りに感じながら働くことが出来る。そう感じ、貴社を志望した。
すげぇ上から目線。
でも、全体としては悪くないと思います。
社員と会っていることを伝えている分、「ああ、結構熱意あるね」と感じます。
また、やはり一組織人として、自分の会社がほめられているのは悪い気分ではありません。
ESでありがちのこの質問は、志望動機と言いつつ、相手をいかに気持ちよくする回答をするのかがキモだと思います。
右翼団体の方々に、ヘイトスピーチについての話を聞きにいったことがある。そこで、身の危険を感じた。「人に話を聞く」だけでも、危険性が伴う可能性があるということを経験し、それに対する覚悟も決めることが出来た。この覚悟は、どんな現場にでも踏み込んでいく記者にとって、必要なものだと思う。
2013年11月23日、新嘗祭にわく靖国神社を訪れた。話を聞く機会をうかがいながら、団体が設営したテントの近くを歩いていると、数人の男性に囲まれた。「兄ちゃん、公安か?」全力で否定し、必死で意図を伝えると、気前よく軽食をとりながら話をしてくれたが、囲まれたときの緊張感は、いまでも忘れることが出来ない。
116号事件などもそうだが、記者の仕事は相応の危険性を伴うように思う。それを身をもって味わい、考えたことで、それに対する覚悟を決めることが出来た。
これもストロングポイントでした。
「バイトリーダーでリーダシップを~~」とか、
「接客業でコミュニケーション能力を~~」とか、
「イベントサークルで企画力を~~~」といった、
なんとなくありがちな学生の回答にしたくなかった欄です。
この欄に、独特なエピソードを書くためだけに右翼団体に突撃しました。
いや、本当に怖かった。
特別な体験というと、世界一周バックパッカーみたいな壮大なイメージを持つ人がいますが、
別に身近なところに特別な体験なんていくらでもあります。
自分が持っている能力や経験から、何か面白い体験ができないか、
もしくは面白い体験をしていないか、考えてみてください。
また、「今でも忘れることができない」みたいな鼻につく表現はありますが、
そこまで自分に酔ってない文章なのも良い点です。
自分の体験を素直に書こうとすれば、わかりやすい言葉を選べるのかもしれません。
≪好きなところ≫一つのことをやり通す力があることだ。5歳のときから、エレクトーンという楽器を弾き続けてきている。今でこそコンクールなどに参加することはないのだが、コツコツと培ってきた実力には、かなり自信がある。
≪好きでないところ≫情に流されやすいところだ。だから、何かを判断するときには、理性的に考えることが出来るかを自省するように心がけている。
そうです、私楽器弾けます。
この欄はあまり面白くないですね。
何とか経験談につなげようとしていますが、字数の関係で中途半端になっています。
案の定、面接でも一回も触れられずに終わりました。
今なら、わざわざ「一つのことをやり通す力がある」なんて書かずに、
≪好きなところ≫5歳のときから、エレクトーンという楽器を弾き続けてきているところ。どんなに部活動が忙しくても、どんなに二日酔いがひどくても、弾き続けてきた。
と書きます。
「コミュニケーション能力があります」とか、私みたいに「一つのことをやり通す力がある」とかわざわか書く必要ありませんよね。
コミュニケーション能力が本当にあるなら、「私には友達が1万人います。全員顔と名前が一致します」という体験を書けばいいだけです。
わざわざ無難な言葉に言い換えるくらいなら、最初から自分にしかない体験を書けばよかったと思います。
高校入学時、中学から続けていたソフトテニス部に入部した際、部員として扱われなかったことだ。
出身中学の部活は、地区大会初戦敗退が当たり前の弱小校、対する高校は関東・全国大会常連の強豪校。当然、周りとの実力差は歴然で、コーチにさえ溜息をつかれる有様だった。
「負けたままはいやだ。絶対に、追い抜いてやる」。持前の負けず嫌いで、必須ではなかった朝練・居残り練に、2年間全参加した。居残り練後にも自主練を、毎日行った。結果、3年時には一時レギュラー入りを果たし、部員として認められることもできていた。
前の質問の解説で書いた、「 自分にしかない体験 」をギリギリかけていると思います。
一番最初に最低限の答えを書いておき、後は全部自分の体験談だけで構成できていますね。
「絶対に、追い抜いてやる」とか、どこのジャンプ系主人公だよって感じがしますが、
カッコつけた言葉よりはわかりやすくていいと思います。
「つらかったこと」を聞かれていますが、全体を通すと「私、あきらめずに頑張れる子ですよ」という自己PRになっているのもポイント高いです。
ESは書ける量が最初から決まっていることがほとんどですから、
その書ける範囲内で精いっぱい自己PRをするように心がけましょう。
2011年3月から、学習塾で個別指導講師として働いている。そこで、〓〓という問題児を受け持った。無断欠席、遅刻、宿題をやってこないのは当たり前。それでも、彼専用のテキストを作り、授業計画を組み、必死で向き合った。
彼が卒業してから2年後の2014年1月。出勤すると、塾に遊びに来ていたという彼からの書置きがあった。たった一言。「先生の生徒でよかったよ」。直接言われていたら、教え子にみっともない泣き顔を見られる所だった。
論外です。
ESは小説を書く場所じゃありません。
質問の真意を考えたら、こんなこと書いて言い訳がありません。
当たり前ですが、ESの質問にはそれぞれ狙いがあります。
例えば、「志望動機」なら「なぜこの会社に入りたいのか」を知るために聞くわけです。
では、この質問は何を聞くための質問なのか。これを考えることが最も重要です。
今の私が考えると、この質問は
この就活生は、どんなことに感動する子なんだろう
というのを知りたくて聞く質問だと思います。
だったら、自分が頑張って生徒を改心させた話ではなく、
もっと感情を揺さぶられる場面を力を入れて書くべきでした。
この文章で言うなら、「書置きのメモにどういう感情を抱くのか」ですね。
正直なところ、この時の気持ちはもうすっかり忘れましたが、
きっと「自分の努力が報われたことがうれしかった」から泣きそうになったんでしょう。
なら、きちんとそのように書いて、「私は自分の努力が報われると感動するんです」ということが伝わるように文を書くべきだったと思います。
ここまでの解説の中に、
記者になって考えるようになったESの書き方の重要ポイントをちりばめてきました。
最後に、そのポイントをまとめておきます。
- ESは、面接官にとって話のきっかけを拾う道具
- わかりやすい表現を使う
- 過去の経験は否定されない
- 志望動機は相手をいかに気持ちよくさせるかがキモ
- 身近にある、特別な体験をしておこう
- 無難な言葉に言い換えず、自分にしかない体験を書く
- 書ける範囲内で精いっぱい自己PRをする
- 「この質問は何を聞くための質問か」を考える
以上です。結構多いですね。
でも、自分が書いているESを上のポイントと照らし合わせながら読んでみてください。
きっと、就活本マニュアルに書いてあるようなありきたりなことを書いていてしまったり、
なんの中身もない哲学を書いていたりすると思います。
それは、社会人にとって何の面白みもない文章です。
自分の書いたESが、どのように読まれるのか。
しっかり想像しながら書くようにしましょう。
当ブログでは「文章の書き方」に焦点を当てた記事を多数ご用意しています。
まとめ記事もありますので、興味があればぜひご覧下さい。
もしESや文章の書き方についてご相談があれば、ぜひぜひお受けします。
下記お問い合わせページや、コメント欄でご連絡ください。
それでは、今回はこの辺で。ありがとうございました!!!